テレワーク時の人事評価の実態と課題 解決に導くポイントとは

テレワーク時の評価は、7割以上の企業が困難と感じています。また、従業員側もテレワーク時に適正な評価が下されるか不安を抱いていることがわかっており、企業はテレワークに適した評価のポイントを踏まえて、公平な制度の確立を進める必要があります。

テレワークの拡大と人事評価

新型コロナウイルスの感染拡大から数年が経過し、テレワークの導入も大きく進みました。

一方で、テレワークからオフィスへ回帰する動きもあります。その原因のひとつとして挙げられるのが、テレワーク時の評価の難しさです。 直近1年(2022年現在)で見ても、テレワークの評価にまつわる調査は数多く実施されており、関心の高いテーマとなっています。まずは主要な調査の結果から、テレワーク時の評価の問題点を洗い出していきます。

7割以上の企業が人事評価が困難と感じている

テレワークを実施した企業の実態について確認していきます。HR総研「テレワーク下における人事評価の実態調査」によれば、出社時よりも人事評価が困難と感じる企業が7割以上という結果が出ています。

また、テレワーク下の人事評価における課題については、主に以下のような問題が回答されています。

・勤務態度を実際に見ることができない 54%

・仕事のプロセスを詳細に把握できない 49%

・他のチームメンバーとのコミュニケーションの状況がわからない 45%

テレワーク時の評価を整備するためには、こうした課題を改善していく具体的な施策が求められるでしょう。

参考:テレワーク下における人事評価の実態調査

テレワーク時の評価不安が離職リスクに

テレワークにおける評価は、実は従業員側にも不安を与えています。パーソル総合研究所「まだらテレワーク職場で発生する評価不安とその解消法」によれば、「テレワーカーの不安感」の上位3つは以下のようになっています。

・非対面のやりとりは、相手の気持ちが察しにくく不安だ 39.5%

・上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安だ 38.4%

・上司から公正・公平に評価してもらえているか不安だ 34.9%

意外にも「評価」にまつわる不安が上位2つを占めています。また、調査結果の分析を行った結果、これら評価にまつわる不安が継続就業意向や転職意向に直結していることが判明しています。

つまり、評価に対する不安の解消、すなわち明快な評価制度を構築しないと、離職リスクの増加につながるわけです。

参考:まだらテレワーク職場で発生する評価不安とその解消法

テレワーク時に欠かせない評価のポイント

成果主義の導入

勤務態度やコミュニケーションが見えない問題に対しては、「成果」が出ていればプロセスは考慮しないと割り切ることで解決できます。

ただ、こうした評価は、むしろ従業員側にとっての不利益が多いかもしれません。「成果が出ていないが勤務態度は真面目」という点で評価を受けていた従業員は、テレワーク下の成果主義では評価されないからです。

もしテレワークを選択制で導入している場合は、人事評価において「就業態度」や「コミュニケーション」といった項目で評価できないことを付け加えておくとよいかもしれません。

ただ、HR総研「テレワーク下における人事評価の実態調査」によれば、「『成果重視であるほどテレワーク化による影響は少ない』とはいえないようだ」としており、成果主義のみでテレワーク時の評価制度は解決しない点は留意しておきましょう。

出勤を評価材料に加えない

テレワークの評価時に気をつけるべき点として、出勤自体を評価材料に加えないことが挙げられます。「オフィスに来て偉い」と評価することは、テレワーク利用者を不等に扱うことになり、差別や社内の分断につながりかねません。

こうした心証にまつわる問題は、管理職ごとの評価基準のぶれになりやすいため、注意しましょう。

明確な評価基準

テレワークに限ったことではありませんが、上の出勤の評価でも挙げたとおり、評価基準の明確化は特に重要なポイントです。

評価者ごとに「成果主義に偏っている」「稼働時間を高く評価している」などの評価基準のぶれが生じていると、部下の不信感につながります。細かく人事評価の基準を定めて、明確化しておくことが必要になるでしょう。

1on1の導入

1on1を導入して、業務としてコミュニケーションの時間を設けることも大切です。チャットツールやメールといったテキストだけのやりとりでは、齟齬が生まれやすくなります。web会議ツールや電話などを活用し、会話によって就業の状態や業務の進捗を確認しましょう。

テレワークと目標管理制度

目標管理制度とは、従業員それぞれに期間内での個人の目標を設定してもらい、進捗や目標の達成度合いから人事評価を行う手法です。経営学者ドラッカーが著書『現代の経営』のなかで提唱した制度で、正式には「Management by Objectives(MBO)」といわれます。

上で解説した「評価のポイント」と目標管理制度は相性がよく、テレワーク下の評価に適しているといわれます。

実施にあたっては、まず個人の目標と組織としての方向性が合致するように定めます。また、取り組み方や達成の手段を事前にすりあわせておき、上司・部下の双方が合意することが大切です。とくにこの準備段階では、1on1などを実施して十分にコミュニケーションを取るようにしましょう。

業務の進行中は、目標に対して誤った取り組みをしていないか上司が確認・サポートを行います。 成果物の仕上がりまたは期日を迎えるといった目標地点に達したら、達成度と照らし合わせて評価を行います。以上のような流れで、テレワーク下でも適正な評価が行えるでしょう。

まとめ

先の見えないコロナ禍にあって、近年では出勤の強行が目立っています。ただ、その結果としてクラスターにつながり、深刻な業務不全に陥る企業も散見されます。テレワーク環境の整備は、リスク管理の面でも重要といえます。

また、20代の転職希望者の8割以上は「テレワークを利用したい」と回答している調査もあり、採用活動の面でもテレワークの推進が優秀な人材の獲得にプラスに働くでしょう。テレワークをめぐり、企業と働き手のあいだに乖離が見られる今だからこそ、テレワーク環境の整備が競合他社に差をつける好機となるでしょう。

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