中小企業がテレワークを導入すべき理由 導入を阻む原因は?

中小企業のテレワーク導入を阻む原因は様々ですが、それら問題を乗り越えてテレワークを導入すべき理由があります。とくに今後の人材確保や非常事態時での事業継続を考えれば、補助金制度が充実する今だからこそテレワークを推進して同業他社との差別化を図るべきです。

伸び悩む中小企業のテレワーク導入率

株式会社パーソル総合研究所が2020年11月に実施したテレワークにまつわる調査(2万人超を対象)によれば、テレワークの実施率は従業員数1万人以上の企業で45.0%、従業員数100人未満の企業で13.1%と大きな差がついています。

参考:第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

さらに同調査によれば、テレワークの継続を希望する回答者は約8割にものぼり、テレワークを体験した働き手はオフィスへの回帰を敬遠する傾向が見て取れます。

テレワークを実施していない中小企業は、テレワークを志望する人材の採用は困難になると言わざる得ないでしょう。今後、企業間でテレワーク導入率に差がつけば、有能な人材の採用についても差が開いていく一方となりそうです。

中小企業のテレワーク導入を阻む問題

テレワーク導入が進まない根幹的な問題として、業種としてテレワークの実施が困難という理由があります。小売りや郵便、医療などが最たる例です。実際にテレワークの実施率は業種によって大きく差が出ており、最も高い「情報通信業」では55.7%、最も低い「医療、介護、福祉」では4.3%となっています。

しかし、問題はこれだけではありません。上で挙げたテレワークにまつわる調査によれば、「テレワークをしていない理由」として「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」という回答が2.3ポイント上昇しています(過去3回の調査と比べて)。

これはテレワークを実施できる業務・環境にありながら、会社としてテレワークを推奨しておらず、不必要な出社が増加傾向にあることを示唆しています。

テレワークを阻害する問題として、以下のような事柄が考えられます。

労務管理の問題や生産性低下の恐れ

勤怠を始めとする労務管理の問題や、業務における生産性の低下などを理由としてテレワークを実施しない企業は多いでしょう。実際、最初のうちは慣れない働き方であるため、生産性が低下する従業員が出てくることは否めません。

業務の割り振り

中小企業でテレワーク導入する際に露見しがちなのが、これまで業務の割り振りが偏っていたという問題です。

具体的には「仕事ができる人」に業務が集中しており、テレワークを始めることによって「やることのない人」の存在が浮き彫りになるという例です。つまり、やらなくてもよい業務で時間を潰していた従業員の存在が明らかになっているのです。

一見すると、これはテレワーク導入による副次的なメリットに思えます。しかし、慣れないテレワーク環境で、「やることのない人」へ新たに仕事を割くことは難しく、結局出勤を促すという事態になりがちです。

これはテレワークが直接の問題なのではなく、これまで顕在化していなかった問題がコロナ禍によって浮き彫りにされたともいえるでしょう。

セキュリティ管理の問題

外部から自社内のシステムへアクセスすることが常態化するため、セキュリティの確保は必須となります。技術的な問題だけでなく、下でも触れるコストも大きな障害となるでしょう。

テレワーク導入が進む情報通信業のなかでもマスコミ関係は、セキュリティーの問題から出社せざるを得ない状況に置かれる傾向もあるようです。

コストに対する抵抗感

コミュニケーションツールの導入費用やペーパーレスへの対応、場合によってはシステム維持のために新たな人材を雇用する必要性も出てきます。

新型コロナウイルスの感染拡大によって業績が落ち込む企業にとっては、テレワーク導入にかかるコストの捻出は難しいでしょう。

中小企業がテレワークを導入すべき理由

上のように、テレワークを阻む様々な問題があります。しかし、そうした問題を乗り越えて、テレワークを実施すべき理由があります。

非常事態下での事業継続

新型コロナウイルスによるパンデミックは全世界における問題ですが、もともと日本は災害大国とよばれ、特に大地震はいつ起こってもおかしくないといわれています。災害等の非常事態下では、オフィスへの出社が制限されます。企業として生産性を維持し事業を継続するには、従業員が出社せずとも業務を行える環境つくりが不可欠なのです。

人材確保や引き留め

各社でテレワークの導入が進んでいる以上、健康問題のリスクや家庭の事情などから「テレワークが導入されないのなら転職する」といった従業員が増加するのは間違いありません。

今後、労働力人口が減少し続けることから考えても、人材確保のためにテレワークは必須の条件となるかもしれません。

コスト削減

テレワーク導入時にはコストがかかりますが、長期的な目線でみればテレワークはコスト削減につながります。例えば、出社する人員が減ることで床面積の狭いオフィスへ移ることが可能となり、デスクなどの備品も減らすことができます。

また、節電によるコスト減などもメリットとして挙げられることがあります。ただし、これはコストが霧散したわけではなく、各従業員の家で電気代や通信費などに転換されたに過ぎません。とくに通信費の負担などは補助を行わないと、従業員の負担が増えるばかりで不満につながりかねないので注意しましょう。

助成金制度の対象となる

国や地方自治体は、テレワーク導入の際に利用できる助成金制度を整備しています。以下に助成金や補助金の一部を紹介します。

  • IT導入補助金(経済産業省)
  • はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)(東京都)
  • テレワーク導入支援補助金(埼玉県)
  • 福岡市テレワーク促進事業支援金(福岡市)

テレワークを検討している企業は、まず自社が助成金の対象となるかを確認してみるとよいでしょう。

まとめ

働き手が健康を第一と考え「テレワークができないのなら辞める・転職」と考えるのは必然です。しかし逆に考えれば、中小企業のテレワーク導入が進まない今こそ、同業他社に差をつけるチャンスといえます。

テレワークを先延ばしにすることで短期的には生産性を維持できるかもしれませんが、中長期的には従業員の離職リスクの上昇や緊急時の事業継続性などのリスクを抱えることになります。

補助金制度が実施されているうちに、テレワーク推進を目指してみてはいかがでしょうか。

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