ストーリーテリングとは?意味やメリット、トレーニング方法を解説

ストーリーテリングを使えば、単に事実や情報を伝えるよりも相手の心に響きます。ストーリーテリングにより、相手の記憶に残り、共感度が高め、相手の行動を促すこともできます。ストーリーテリングとはどういう意味か、活用するメリット、トレーニング方法について解説します。

ストーリーテリングとは?

ストーリーテリングとは物語を語ることを意味する言葉です。ビジネスでは、事実や情報を伝えるだけでなく物語として伝え、聞き手に強い印象を与えることをストーリーテリングといいます。

ストーリーテリングによって強い印象を与える

事実や情報を伝えることと、ストーリーテリングの違いは何なのでしょうか?実は、ストーリーテリングで語られる物語の中身は、事実や情報と変わりません。それにもかかわらず、ストーリーテリングの方が聞き手に強い印象を与えるのです。例を用いて考えてみましょう。

複合機を売ろうとしている2人の営業担当者(鈴木さん、加藤さん)がいます。どちらもX社に所属している男性です。X社の商品の性能は極めて高いですが、他社も似たような性能の機種を出しています。2人の売上の違いを見てみましょう。鈴木さんはトップセールスをたたき出しましたが、加藤さんの営業成績は平凡なものでした。鈴木さんはなぜ勝てたのか?その理由は、彼がストーリーテリングを用いて売ったことでした。

複合機の性能は他社とそう違いを出せるものではありません。違いを出そうとすれば価格しかありません。しかしカウンター料金の安易な値下げはメーカーにとっては痛手。そこで鈴木さんは考えました。自分が高性能の複合機を使って得したことのエピソードの数々を準備して、顧客に伝えるのです。その結果、顧客には複合機の性能と共にエピソードが印象に残り、鈴木さんから複合機を買おうと思うわけですね。

ストーリーテリングが必要な理由

ストーリーテリングはなぜビジネスに必要なのでしょうか?2つの理由から説明します。

データだけでは人を納得させられないため

商品の性能をアピールしても顧客に与える印象は一時です。しかも性能が高い商品を開発しても、他社がすぐに追いついてしまいます。ですから商品の性能、機能、使いやすさなどのデータをいくらアピールしても顧客の印象には残りにくいのです。印象に残らないということは、購入するほどの納得を得られず顧客が「買わない」という選択肢を選ぶことになるわけです。

その点、ストーリーテリングを使ってエピソードを交えて語れば、顧客は引き付けられます。複合機の事例では「複合機を使って得したこと」を語りましたが、人の感情に訴えかける面白さ・幸福感などを交えたエピソードであれば、ストーリーにルールはありません。相手に合ったストーリーであれば良いのです。

他社と差別化できるため

ストーリーテリングによってストーリーを語れば、同業他社の商品と差別化することが可能です。競合がたくさんいるレッドオーシャン市場においては、他社との違いが価格しかないということもあります。しかし、いくら価格を下げるといっても限界があります。価格を下げ過ぎ、損益分岐点よりも売上が下がったら赤字になってしまいますね。他社と差別化するのにストーリーが役立つのです。

ストーリーテリングを活用するメリット

ストーリーテリングを活用するとどんなメリットがあるかを確認していきます。

共感度が高まる

同じ事実や情報を語るにしても、ストーリーテリングを使えば聞き手の共感度を高められます。自社と全く取引がない相手にプレゼンするとき、相手に好印象を持ってもらうには共感度を高めることが1つの手段です。ストーリーテリングを通じて自分が語るストーリーに「面白い!」「いいね!」と思ってもらえれば、共感度を高めることができるのです。

共感度を高めた相手にはハロー効果が働きますから、事実や情報がよく見えるようになります。複合機のように他社との差別化が難しい商品でも、相手の共感度を高めることで「買ってみたい」と思えるようになるわけです。

聞き手を行動させられる

ストーリーテリングには、聞き手の行動を促すメリットがあります。採用面接において、似たようなプロフィール(学歴、経験、業績)の候補者2人のうち、1人を採用する場面を想定します。

プロフィールが似ている場合、面接官はどちらに合格を出すかに迷いが生じますね。しかし候補者Aはこれまでの職務経験を淡々と述べたのに対し、Bはストーリーを交えリアリティをもって実績を訴えました。面接官はどちらに合格を出すでしょうか?

いうまでもなく候補者Bです。ストーリーテリングを用いたことで、候補者Bは面接官に「合格を出す」という行動を促したのです。ストーリーを用いると臨場感が出ますし、「候補者Bは入社してからも同じような実績を上げてくれるのではないか」という期待が高まるわけです。ストーリーテリングが人の行動を促すゆえんですね。

ストーリーテリングのトレーニング方法

どのようにすればストーリーテリングをトレーニングできるでしょうか?3つのポイントで確認します。

相手をよく知る

ストーリーテリングを活用するには、相手をよく知ることが大切です。ストーリーテリングがメリットを発揮するには、相手に響くストーリーを語らなくてはなりません。ストーリーであれば何でも良いわけではないのです。ですから相手をよく知り、彼(彼女)なら喜んでくれるようなストーリーを語るのです。

ビジネスではなかなか本音をいいませんから、相手がどんなポイントに関心を持つか分かりません。ですから、日ごろから社内の人間をよく観察して「A子さんはこういう人だろうか?」と見当をつけておきます。その上で話し、予想通りの人材かどうかを見極めていくのです。社外の人はもっと本音をいわないので、ちょっとした話しぶりからどういう人かを知ることがストーリーテリングの第一歩となります。

日常の中でストーリーを探す

相手がどんな人かが分かったら語るべきストーリーを探して下さい。手っ取り早いのは職場や家庭、趣味などで起こったエピソードをストーリーにすることです。つまり日常の中でストーリーを探すのです。

例えば職場の中で同僚と話したことで、自分の感情が沸き上がったエピソードを探します。結果、「こういうエピソードに遭遇すると、人は感情が沸き上がる」という人間の心の仕組みが経験的に分かるようになります。エピソードが必ずしもビジネスのストーリーテリングに使えるわけではありません。ただ、エピソードと人間の感情の仕組みとの関わりを把握すれば、ストーリー作りに役立ちます。

聞き手が共感するストーリーを作る

エピソードと人間の感情の仕組みとの関わりを把握した後は、聞き手が共感するストーリーを作ります。相手に沿ったエピソードを盛り込み、ストーリーを作るのです。ストーリーはラフスケッチで良いので紙やタブレット端末などにペンで書いていきましょう。

営業担当者がストーリーを作るなら、売りたい商品に関するエピソードを盛り込んで時系列でストーリーを作ります。そしてストーリーのポイントがどこか、時系列のストーリーに印をつけておきます。ストーリーができたら声に出して練習し、聞き手が共感するストーリーを作りましょう。

まとめ

ストーリーテリングは、自分の思いを伝え聞き手に強い印象を与えることができます。営業における商談を始め、社内の企画会議や採用面接でもストーリーテリングは使えます。トレーニング方法についても説明しましたので、どうすればストーリーテリングを鍛えられるか参考になさって下さい。

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