360度評価とは?メリット・デメリット、効果的に運用するポイントを解説

360度評価とは複数の関係者によって多方面から評価できる評価制度のことです。360度評価を採用すると社員を客観的に評価することができ、評価に対する納得性を高めることができます。360度評価のメリット・デメリット、効果的に運用するためのポイントを解説します。

360度評価とは?

従来の人事評価は上司から一方的に評価されるものでした。しかし360度評価は、上司だけでなく部下や同僚、後輩などの関係者により多方面から評価できる評価制度です。ちなみに360度評価は多面評価とも呼ばれます。

従来の人事評価ではどうしても上司の主観的評価に陥りがちでした。360度評価を活用すれば多方面から評価されますので、客観的な評価に繋がり社員が評価への納得性を高めることが可能です。リクルートマネジメントソリューションズの2020年調査によると、360度評価を導入している企業は31.4%にまで達しています。

参考:https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000304/

360度評価が求められる理由

なぜ、360度評価が求められるのでしょうか?理由を確認していきましょう。

管理者の負担が大きくなってきた

企業の人手不足が拡大し、管理者の負担が大きくなってきています。管理者もマネジメントだけをしていれば良いのではなく、日常業務も遂行します。つまりプレイングマネジャーとしての役割が管理者に求められているのです。忙しい業務の中で、管理者は部下を育成し、組織目標の達成責任も担います。管理者の負担は大きくなっているのです。

管理者の負担が大きくなれば、なかなか部下を評価する余裕がないでしょう。しかし、きちんと部下の働きぶりや成果を見て評価しないと、評価が主観に陥り過ぎ、社員からは人事評価に対して納得してもらえません。360度評価を導入することで管理者の負担を軽減し、しかも社員に納得してもらえる人事評価を行うことができる訳です。

客観的な評価が難しくなってきた

管理者と社員とのコミュニケーションは、対面ばかりではなくクラウドやSNSを通じたWebコミュニケーションも増えてきました。働き方改革や新型コロナウイルスの影響でテレワークが増えれば、非対面のコミュニケーションはますます増えていくことでしょう。また、管理者も社員も多忙であることから社員の行動を管理者が細かく見ることができなくなってきます。

非対面のコミュニケーションが増え、社員の行動を管理者が細かく見ることができなくなれば、客観的な評価が難しくなります。客観的な評価ができる360度評価が求められてきているのです。

360度評価のメリット

360度評価にはどんなメリットがあるでしょうか。

客観的な評価ができる

360度評価は上司・同僚・部下・後輩など業務に関わりのある関係者から評価してもらう評価制度です。上司が一方的に評価してきた従来の人事評価制度とは違い、様々な観点で評価してもらえるので客観的な評価ができます。

部下がたくさんいると、1人ひとりの評価について管理者が割ける時間が少なくなってしまいます。また、プレイングマネジャーの管理者は業務が忙しく、部下の行動を丁寧に確認せずに評価してしまうことも。そのため、社員は上司の評価に不公平感を覚えるのです。人事評価は賞与の支給額に影響しますので、客観的な評価がなされなければ社員はモチベーションが下がり、最後は転職してしまうかもしれません。

360度評価を採用すれば客観的な評価ができるため、社員の不満を削減し、モチベーションの向上に繋げることができるでしょう。

社員が評価に納得できる

上司の主観で評価されると、「自分はがんばったのに低い評価なのは納得できない!」と社員は不満を抱きがちです。しかし360度評価を導入すれば、社員は上司・部下・同僚などから多面的に評価してもらった上での評価なので、社員の納得感が高まるのです。

360度評価の導入で客観的な評価ができれば、公平な職場で働いていることに喜びを感じ、社員は会社への信頼を高めていきます。

社員が問題点に気付ける

360度評価は社員自身も評価を行います。従来の人事評価では被評価者としての側面だけでしたが、360度評価では社員も評価を行うので、評価の仕組みが具体的に分かるようになります。

具体的に評価の仕組みを理解するようになれば、評価者の視点で自分の評価も見ることが可能に。評価者の視点で評価を把握すれば、改善すべき問題に気付け、解決策も講じることができるようになるのです。また、360度評価では社員は納得性を高めていますから、問題への取り組み姿勢も能動的になり得ます。

360度評価のデメリット

360度評価のデメリットも見ていきましょう。

上司が厳しい評価を下せない

360度評価のデメリットには、上司が厳しい評価を下せないことがあります。360度評価は、上司が評価する部下から自分が評価される制度です。そのため、上司が部下を評価する時、低い評価を付けられないように厳しい評価を下せないリスクがあるのです。

厳しい評価にはメリットがあります。厳しい評価は部下の問題行動をあぶり出すことでもあります。評価後に部下に対してフィードバックすれば、部下の問題行動を改善できるのですね。上司が部下からの低い評価を恐れて厳しい評価を下せないと、部下の問題行動を改善できないことになってしまうのです。

評価のかけ引きが生じる

360度評価のデメリットとしては、評価のかけ引きが生まれることも挙げられます。360度評価は社員同士でも評価し合いますから、「同期のAさんとは仲が良いから高い評価を付け合おう」「後輩のBさんに高い評価を付けてくれと依頼しよう」などのかけ引きが生じやすくなるのです。

人事評価は、賞与の配分を決定する重要な人事手続きです。かけ引きによって賞与の配分が決まることは許されないのですが、社員同士で評価し合えるために、かけ引きが生じるリスクがある訳ですね。また、人事評価後に上司がフィードバックすることで、人事評価は部下の人材育成にも活用できるのですが、かけ引きによる評価の後では人材育成に繋がりません。

360度評価を効果的に導入するためのポイント

360度評価は、うまく運用しないとデメリットが生じてしまいます。360度評価を効果的に導入するためのポイントを解説します。

360度評価の導入目的を明確にする

360度評価を効果的に導入するには、360度評価の導入目的を明らかにしていきます。人材育成や管理者のマネジメント力強化など、導入目的を決めることで、360度評価をうまく導入するためのスタートラインに立てます。

賞与配分の根拠から外す

360度評価のデメリットを防ぐためには、賞与配分の根拠から360度評価の評価結果を外すことが大切です。360度評価の評価結果が賞与に反映されてしまうと、かけ引きが生じたり上司が厳しい評価を下せなかったりします。ですから、360度評価の評価結果が賞与に反映されないように設計することが求められます。

社員に周知する

360度評価の導入が決まったら、社員に周知して下さい。事務的に周知するのではなく、会社がどういう思いで360度評価を設計したのか、思いをしっかり伝えます。360度評価に限らず人事評価ではフィードバックが大切になりますから、フィードバックのやり方も周知します。360度評価ではこれまで被評価者だった社員も評価することになるので、フォロー体制も準備し、周知していきましょう。

研修を実施する

360度評価は、人事評価に不慣れな社員も評価を行います。そのため、360度評価の研修を実施し、評価のやり方や注意点を伝えることが大切です。研修では講義だけでなく人事評価の演習も実施し、社員に360度評価に慣れてもらうと効果的です。

まとめ

360度評価は、従来の人事評価と違い関係者により多方面から評価してもらう制度です。上司の一方的な評価ではなく、複数の関係者が評価することで客観的な評価が可能に。そのため社員の納得感を高めることができます。なお、デメリットもいくつかありますが、効果的に導入するためのポイントを実行することで解消できます。

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