人材開発支援助成金とは?特徴・受給方法について

企業が従業員の人材開発に取り組んだ際、費用の一部が助成される人材開発支援助成金。従業員の人材開発をしたいのに後手を踏んでいた企業も、人材開発支援助成金があれば人材開発がやりやすくなります。人材開発支援助成金を初めて知る人のために、特徴や受給方法について分かりやすく解説します。

人材開発支援助成金とは?

人材開発支援助成金とは、従業員のキャリア形成の促進を目的とした助成金のことです。以前はキャリア形成促進助成金といいましたが、2017年4月に人材開発支援助成金へと名称が変わりました。企業が従業員に研修したり社内で人事制度を構築したりした場合、助成金が支給されます。

人材開発支援助成金の目的

企業の人材開発にかかる費用の一部を負担してくれる人材開発支援助成金。人材開発支援助成金の目的は、従業員のキャリア形成の促進を通じ企業の人材力を向上することです。

キャリア形成促進助成金からの変更点とは?

人材開発支援助成金は、2017年にキャリア形成促進助成金から名称が変わりました。名称が変わるにあたって、2つの変更点があります。

1つ目の変更点はコースの変更です。キャリア形成促進助成金には4コースがありましたが、統廃合があり人材開発支援助成金では7コースに分かれています。

2つ目の変更点は労働生産性の概念の導入です。企業の生産性が3年前よりも向上していることにより、助成率または助成金額が引きあがります。

人材開発支援助成金の各コースについて

人材開発支援助成金の7つのコースとはどんなコースなのか、具体的に確認していきましょう。

1.特定訓練コース

企業の社員教育では、OJT(職場での教育)とOff-JT(研修)の2つに分けられます。教育にかかった経費に対して助成されるのが特定訓練コースです。特定訓練コースの助成内容は、「労働生産性の向上に直結する訓練」「グローバル人材育成の訓練」などが定められています。

特定訓練コースで助成される金額は、中小企業では、OJTについて1人当たりの助成金額665円/時です。Off-JTについて賃金助成760円/時、助成率は経費助成45%となります。中小企業以外では、OJTについて1人当たりの助成金額380円/時です。中小企業以外では、Off-JTについて賃金助成380円/時、助成率は経費助成30%です。

2.一般訓練コース

一般訓練コースは、特定訓練コース以外の教育に対する助成で、助成はOff-JTのみに限られます。

一般訓練コースで助成される金額は、1人当たりの助成金額380円/時です。助成率は経費助成30%です。

3.教育訓練休暇付与コース

教育訓練休暇付与コースは、有給教育訓練休暇制度を導入し、従業員が休暇を利用して教育を受けた時に助成されるものです。定額での助成となり、一律36万円が助成されます。また、2019年には長期教育訓練休暇制度が新たに設立され、一律20万円が助成される他、有給による休暇取得に対し1人1日当たりの賃金助成として6,000円が助成されます。

4.特別育成訓練コース

特別育成訓練コースは、正社員以外の有期契約の従業員に対して正社員に転換、または処遇の改善を目指して教育した時に助成されます。特別育成訓練コースの助成内容は、「一般職業訓練」「有期実習型訓練」などが定められています。

特別育成訓練コースで助成される金額のうち、一般職業訓練および有期実習型訓練を紹介します。中小企業では、OJTについて、20時間以上100時間未満で10万円、100時間以上200時間未満で20万円、200時間以上で30万円の経費助成があります。賃金助成としては、760円が助成されます。

中小企業以外では、OJTについて、20時間以上100時間未満で7万円、100時間以上200時間未満で15万円、200時間以上で20万円の経費助成があります。賃金助成としては、475円が助成されます。

5.建設労働者認定訓練コース

建設労働者認定訓練コースは、建設労働者のスキルアップのために建設関連の訓練を実施した時に助成されます。建設関連の訓練は、職業能力開発促進法による認定職業訓練のことです。建設労働者認定訓練コースの助成内容は、「若年・助成建設労働者トライアルコース」「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース」などが定められています。

建設労働者認定訓練コースで助成される金額をコース別に紹介しましょう。「若年・助成建設労働者トライアルコース」の助成金額は、1人当たり最大4万円です。「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース」の助成金額は、中小建設事業主については支給対象経費の3/5、中小建設以外の事業主については支給対象経費の9/20が助成されます。

6.建設労働者技能実習コース

建設労働者技能実習コースは、建設労働者のスキルアップを目指し社内または登録教習機関において技能実習を受講したことに対する助成です。建設労働者技能実習コースの助成内容は、「労働安全衛生法による教習、技能講習、特別教育」「建設業法による登録基幹技能者講習」などが定められています。

建設労働者技能実習コースで助成される金額は、対象によって細かく分けられています。経費助成として、20人以下の中小建設事業主には支給対象経費の3/4、21人以上の中小建設事業主には35歳以上で支給対象費用の9/20、35歳未満で支給対象費用の7/10が助成されます。また、中小建設事業主以外の建設事業主には支給対象費用の3/5が助成されます。

賃金助成としては、20人以下の中小建設事業主には1人あたり7,600円、21人以上の中小建設事業主には1人あたり6,500円が助成されます。

7.障害者職業能力開発コース

障害者職業能力開発コースは、障害者への職業能力開発訓練事業として行った施設の設置や運営費に対して助成が行われます。施設には費用の3/4(上限5,000万円)、運営費には費用の4/5(上限1人当たり17万円)が助成されます。

人材開発支援助成金申請の流れ

人材開発支援助成金の助成を受けるには、労働局に計画届を届け出ることが必要です。計画に沿って訓練を行い、助成金の支給申請によって助成金を受けられるのが申請の流れです。申請の流れの基本を詳しく見ていきましょう。

職業能力開発推進者の選任

人材開発支援助成金の助成は、コースによって申請内容が変わります。特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コースでは職業能力開発推進者の選任を必要とします。職業能力開発推進者には、人事労務担当者・責任者が適しています。職業能力開発推進者は、事業内職業能力開発計画を策定します。

計画届の届出

人材開発支援助成金の計画届は、職業訓練の開始日の1か月前までに管轄の労働局に届け出ます。

訓練の実施

計画届を届け出たあと、計画に沿って訓練・制度導入を実施します。

受給申請

訓練が終了した日の翌日から起算して2か月以内に管轄の労働局に受給申請を行って下さい。

まとめ

人材開発支援助成金は、企業の人材開発を促進するために設けられた助成金制度です。OJTやOff-JTなど企業の社員教育の実施に対して助成してくれるため、計画的に人材開発を進めることができるでしょう。

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